2007-03-20

徘徊する親父との散歩 part2

徘徊もけっこう頻繁になり、私が心配しているのが通じたのか「息子が呼んでいるから」と言って出て行ったり、母が追い掛けきれず人を頼んで付いてもらうこともあった。
僕の仕事帰りにちょうど出て行く父に遭遇して「早く追いかけてや~」と母に言われ後を追った事も数回あった。

やはり忘れられない記憶がある。ここは地域柄大風が吹き捲る日が多々ある。ある日の夕刻、仕事帰りか休日だったか忘れたが親父がまた出て行ったので横に付いて一緒に歩いた。風がとても冷たく体がブルブル震えながら「父ちゃんどこへいくだー、帰るばー」と言いながら2人で歩いた。
親父は大風に体を揺らされるとちょっと立ち止まり、また黙々と歩を進める。寒そうな気配も感じさせず、俺が何か言ったり腕を取ったりすると少し俺の顔を見てまたきびすを返して歩きだす。何か口でしゃべりながら、風が強く何も聞こえない。一心不乱にただ歩く。

やっと一週の経路を誘導して帰ってきた、体は何か火照っていたような感じがする。少々頭にきて、親父の後ろから店の横のサッシの入り口を開け、立ち止まっているので「早く入れよ!」と言うと、一歩だけ中に入りまたじっとしている、そして右手を後ろに持ってきて後ろを振り向かないでゆっくり戸を閉めて家の中に入っていった。
俺の前でガラス戸がピシャリと閉められた。俺はまだ外にいるのに。
歩きながらの俺の態度に腹を立てたのか、すぐ後ろにいる俺の存在を認識していなかったのか。
何か親父に無視されたような、お前は入ってくるなと言われているようで、まるで幼い子供が親に叱られて家の外に出されたような、なんかやるせない感情が湧いて来て。すぐ戸が開けられなかった・・・

1 件のコメント:

さんのコメント...

今日、ブログを拝見しました。
同じく両親の介護をしてきた者です。
病状は違いますが、同じ境遇の方がいらっしゃるのを知り嬉しい思いです。
これからもブログ、拝見させて頂きます。