2007-03-11

徘徊する気持、親父のお辞儀。

親父はなぜ外へ出るようになったのだろう?認知症の痴呆状態が進行して徘徊までするようになった。と言えばそれまでだが、親父にもそれなりの理由があったように見られた。

ある日お袋の前に来て正座し丁寧にお辞儀した。そしてそっと一万円札を差し出して、「お世話になりました」と一言・・・
お袋があっけに取られて呆然としていると、そのまま出て行ってしまった・・・。気を取り直して後を追ってまた連れて戻ってきたが、その話を聞いてお袋の落胆ぶりが伝わってきた。

やはり親父も自分の奇異な言動、行動に家族が辛い思いをしているのを感じ取り自覚していたと思う。それがこの時は、こうなってしまった今の自分ができることは家を出て行くしかないという行動になったんだと思う。考えると親父も哀れに想えてしかたない。あの親父らしい表現の仕方だと、今想うと懐かしく哀愁すら憶えてしまう。本当に常識豊かで温和な人だったから。

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